第3章 キャラクター設計
この章でわかること
- キャラクター設定で決めるべき14項目
- 「毎回顔が変わる問題」を防ぐ方法
- 頭身・線の太さ・色数が小さい画面でどう効くか
- 禁止事項を先に決める理由
- キャラクター設定シートの書き方
- 実例:AI活用コンサルタント「アイナ」の設計一式
なぜ設定を先に文章で書くのか
結論。
設定を文章にしておかないと、40枚のあいだに顔が変わります。
画像生成AIは、毎回ゼロから絵を描きます。
前回の絵を覚えていません(覚えているように見えても、記憶ではなく参照です)。
だから、こうなります。
- 1枚目:髪が肩まで
- 5枚目:髪が短い
- 12枚目:肌の色が違う
- 20枚目:年齢が10歳上がっている
こうなると、40枚が「同じシリーズ」に見えません。
審査で「類似性がない」と判断される可能性もありますが、それ以前に、買う人が違和感を持ちます。
対策は1つです。
キャラクター設定を、毎回コピーして貼る文章として持つ。
これだけで、ブレは激減します。
キャラクター設定で決める14項目
順番に決めていきます。
上から埋めるだけで設定が完成します。
1. 名前
キャラクターに名前をつけます。
理由は2つ。
- 自分が愛着を持てる
- SNSで紹介するときに語れる
実在の人物名は避けてください。
有名人と同じ名前も避けます。
2. 性格
3語で書きます。
例:陽気 / 面倒見がいい / せっかち
3語あると、セリフの口調が自動で決まります。
3. 年齢感
「20代後半」「30代前半」のような幅で書きます。
具体的な年齢よりも「見た目の年齢感」が大事です。
画像生成AIには年齢感のほうが伝わります。
4. 職業
スタンプの型が「職業特化型」なら、ここが核になります。
職業がわかる小物を1つ決めておくと便利です。
例:保育士ならエプロン、鮨職人なら白衣と鉢巻、コンサルならノートパソコン。
5. 服装
上・下・小物の3つに分けて決めます。
毎回同じ服にします。
服が変わると、別人に見えます。
6. 髪型
長さ、色、前髪、結び方まで決めます。
ここが一番ブレやすい項目です。
例:「肩までのゆるいウェーブ、明るい茶色、前髪は流している」
7. 色(カラーパレット)
肌、髪、服、アクセントの4色を決めます。
色コード(#から始まる6桁)まで決めると、加工時に迷いません。
小さい画面で見るので、色は濃いめにします。
薄い色は、スマートフォンで消えます。
8. 表情のバリエーション
40枚ぶんの表情を、先にリスト化します。
最低これだけあれば足ります。
- 笑顔(大)
- 笑顔(小)
- 驚き
- 困り顔
- 泣き
- 怒り(軽め)
- 真剣
- 眠い
- 得意げ
- 応援
9. 頭身
頭何個ぶんの身長か、という指標です。
2頭身 顔が大きく、体が小さい
- スタンプ向き:◎ とても向く
3頭身 バランス型
- スタンプ向き:◎ 向く
5頭身以上 リアル寄り。顔が小さい
- スタンプ向き:△ 顔が潰れる
スタンプはとても小さく表示されます。
顔が大きいほうが有利です。
迷ったら2〜3頭身にしてください。
10. 線の太さ
太めにします。
理由は、縮小したときに線が消えるからです。
目安:370×320pxの画像で、輪郭線が3〜5px程度の太さに見えること。
11. 背景
スタンプ画像の背景は透過です。
キャラクターの後ろに何も描きません。
ただし、メイン画像だけは背景を入れることがあります(第6章)。
12. 世界観
キャラクターがどんな場所にいるか、という設定です。
スタンプには背景を描きませんが、世界観を決めると小物の選び方が安定します。
例:「都心のコワーキングスペースで働いている」
13. 話し方
セリフの口調を決めます。
- 語尾(〜だよ / 〜です / 〜っしょ)
- 一人称(私 / 僕 / オレ / アタシ)
- テンション(高い / 落ち着いている)
- よく使う言葉(口ぐせ)
第4章のセリフ作成が、ここで決まります。
14. 禁止事項
先に決めるのが重要です。
画像生成AIに毎回「これは描かない」と伝えるためです。
最低限、次を入れます。
- 実在人物に似せない
- 既存アニメ・漫画・ゲームのキャラクターに似せない
- 企業ロゴ、商標、ブランド名を入れない
- 過度な露出、暴力、差別的表現を入れない
- 背景を描かない(スタンプ画像の場合)
- 画像内に読めない文字(意味不明な文字列)を描かない
「毎回顔が変わる問題」を防ぐ5つの方法
これは実務で一番苦労するところです。
有効だった順に書きます。
方法1 設定文を毎回まるごと貼る(最重要)
短く要約しないでください。
「陽気なコンサルの女性」だけでは、毎回別人が出ます。
30行の設定文を、毎回コピーして先頭に貼ります。
面倒に見えますが、これが一番速いです。
方法2 基準画像(キャラクターシート)を先に作る
最初に1枚、正面・上半身の絵を作ります。
これを「基準画像」と呼びます。
以降は、その画像を参照させながら生成します。
画像を参照できる機能があるサービスなら、必ず使ってください。
方法3 変えてよい項目と変えてはいけない項目を分ける
【固定】髪型・髪色・肌の色・服・小物・頭身・線の太さ・画風
【変える】表情・ポーズ・手の位置・体の向き
生成のたびに、この区別を明示します。
方法4 1回の生成で複数ポーズを出す
1枚ずつ40回作ると、40回ブレます。
1回の生成で4〜9ポーズを出すと、その中では顔がそろいます。
第5章で「9分割ラフ案」の方法を書きます。
方法5 うまくいったプロンプトを保存する
これが後で一番効きます。
prompts/ フォルダに、実際に使った文章をそのまま保存します。
シリーズ2作目のとき、そのまま使えます。
キャラクター設定シート(記入用)
そのままコピーして使えます。
記入済みのファイルは templates/character_sheet.md にも置いています。
▼ ここからコピーして使えます(74行)
【キャラクター設定シート】
■ 基本
名前 :
読み方 :
性別/設計:
年齢感 :
職業 :
一言紹介 :
■ 性格(3語)
1.
2.
3.
■ 外見
頭身 :
体型 :
肌の色 :(色コード)
髪型 :
髪の色 :(色コード)
目の形 :
特徴的な要素:
■ 服装(毎回固定)
上 :
下 :
靴 :
小物1 :
小物2 :
■ カラーパレット
肌 :#
髪 :#
服(メイン):#
アクセント :#
■ 画風
線の太さ :
塗り :
影 :
輪郭 :
■ 表情バリエーション(10種)
1. 6.
2. 7.
3. 8.
4. 9.
5. 10.
■ 話し方
一人称 :
語尾 :
テンション:
口ぐせ :
使わない言葉:
■ 世界観
活動場所 :
時代設定 :
一緒に出る要素:
■ 禁止事項
1. 実在人物に似せない
2. 既存キャラクターに似せない
3. 企業ロゴ・商標を入れない
4. 背景を描かない(スタンプ画像)
5. 読めない文字を描かない
6.
7.
■ 固定/可変
固定する要素:
変えてよい要素:
▲ ここまで
実例:AI活用コンサルタント「アイナ」
この教材の実例キャラクターを、いま設計します。
お題はこれです。
AIを使って仕事を効率化する、少しガングロで陽気なビジネスコンサルタント
実在の人物には似せません。
完全な架空キャラクターとして作ります。
私が過去に「ガングロコンサル」を企画したときの考え方をベースにしています。
なぜこのキャラクターが成立するのか
3つの要素が組み合わさっているからです。
- 陽気さ(親しみやすい)
- AIに強い(今っぽい)
- 見た目のインパクト(記憶に残る)
コンサルタントは、ふつうに描くとスーツの真面目な人になります。
真面目な人は、印象に残りません。
そこに「陽気」と「日焼けした肌」を足すと、一気に覚えられます。
そして、セリフのトーンが決まります。
「それAIでいけるっしょ!」
この一言が言えるキャラクターであれば成功です。
設定シート(記入済み)
▼ ここからコピーして使えます(75行)
【キャラクター設定シート】
■ 基本
名前 :アイナ
読み方 :あいな
性別/設計:女性として設計
年齢感 :20代後半
職業 :AI活用コンサルタント(フリーランス)
一言紹介 :どんな面倒な仕事も「それAIでいけるっしょ」で片づける陽気なコンサル
■ 性格(3語)
1. 陽気(テンションが高く、場を明るくする)
2. 面倒見がいい(相手の仕事を先に片づけようとする)
3. せっかち(結論を先に言う。前置きが短い)
■ 外見
頭身 :3頭身(顔を大きく、小さい画面でも表情が読める)
体型 :小柄でがっしりしていない。動きのある姿勢
肌の色 :日焼けした健康的なブラウン(#A9714B)
髪型 :肩上のボブ。毛先が外はね。前髪はセンターで分けて額を出す
髪の色 :明るいゴールドブロンド(#E8C468)
目の形 :大きめのアーモンド型。まつげは太い線で2本だけ強調
特徴的な要素:ゴールドの大きめフープイヤリング(左右)
■ 服装(毎回固定)
上 :白のオーバーサイズTシャツ + ネオンピンクのオープンシャツ(羽織り)
下 :黒のワイドパンツ
靴 :白のスニーカー(描かれないことが多い)
小物1 :ノートパソコン(ロゴなし・無地のシルバー)
小物2 :首から下げたIDカードホルダー(文字は書かない)
■ カラーパレット
肌 :#A9714B
髪 :#E8C468
服(メイン):#FFFFFF(白T)
アクセント :#FF4FA3(ネオンピンク)
線 :#2B2B2B(真っ黒より少し柔らかい)
■ 画風
線の太さ :太め(縮小しても消えない)
塗り :ベタ塗り。グラデーションは使わない
影 :1段のみ。色を1トーン濃くするだけ
輪郭 :全体を同じ太さの線で囲む
■ 表情バリエーション(10種)
1. 満面の笑み(歯を見せる) 6. 泣き(涙は大きめの粒2つ)
2. にっこり(口を閉じた笑顔) 7. 真剣(口を横一直線)
3. 驚き(目を丸く、口を開く) 8. 眠い(半目、口は小さく)
4. 困り顔(眉を八の字) 9. 得意げ(片目を閉じる)
5. 軽い怒り(頬をふくらます) 10. 応援(両手を上げる)
■ 話し方
一人称 :アタシ
語尾 :〜っしょ / 〜だよ / 〜ね
テンション:高い(ただし相手を否定しない)
口ぐせ :「それAIでいけるっしょ」「はい、時短!」「まかせて!」
使わない言葉:専門用語の連発、相手を下に見る言い方、断定的な否定
■ 世界観
活動場所 :都心のコワーキングスペース
時代設定 :現代
一緒に出る要素:ノートパソコン、スマートフォン、小型のAIロボット(相棒役)
■ 禁止事項
1. 実在人物(芸能人・インフルエンサー等)に似せない
2. 既存アニメ・漫画・ゲームのキャラクターに似せない
3. 企業ロゴ・商標・ブランド名を画像に入れない
4. スタンプ画像に背景を描かない(透過)
5. 読めない文字・意味不明な文字列を画像に描かない
6. 過度な露出を描かない
7. 特定の職業や属性を下に見る表現を使わない
■ 固定/可変
固定する要素:髪型・髪色・肌の色・イヤリング・白T・ピンクの羽織り・黒パンツ・3頭身・線の太さ・ベタ塗り
変えてよい要素:表情・ポーズ・手の位置・体の向き・持っている小物
▲ ここまで
この設定で気をつけた点
3つあります。
1. 肌の色を「日焼けした健康的なブラウン」と表現した
「ガングロ」という言葉は、そのまま画像生成AIに入れると意図と違う結果になりやすいです。
色コードで指定するほうが安定します。
そして、特定の人種や属性を戯画化する表現にならないよう、あくまで「日焼け」として扱います。
2. IDカードに文字を書かない
画像生成AIは、文字を苦手にしています。
読めない文字列が入ると、審査で指摘される可能性があります。
だから「文字は書かない」と明示します。
3. ノートパソコンを無地にした
ロゴが入ると商標の問題になります。
「ロゴなし・無地」と毎回書きます。
そのまま使えるプロンプト
プロンプト1 キャラクター設定を作る
▼ ここからコピーして使えます(31行)
あなたはキャラクターデザイナー兼LINEスタンプ制作者です。
以下のテーマから、LINEスタンプ用のキャラクター設定を1体作ってください。
【テーマ】
(例:AIを使って仕事を効率化する、少しガングロで陽気なビジネスコンサルタント)
【使う人】
(第2章で決めたターゲットを書く)
【必須条件】
- 実在の人物・団体に似せない、完全な架空キャラクター
- 既存のアニメ・漫画・ゲームのキャラクターに似せない
- 企業ロゴ・商標を身につけていない
- 頭身は2〜3頭身(小さい画面で表情が読める形)
- 色は濃いめ(薄い色は小さい画面で消えるため)
- 特定の人種・国籍・属性を戯画化しない
【出力する項目】
名前 / 読み方 / 年齢感 / 職業 / 一言紹介 /
性格3語 / 頭身 / 体型 / 肌の色(色コード付き) /
髪型 / 髪の色(色コード付き) / 目の形 / 特徴的な要素 /
服装(上・下・靴・小物2つ、毎回固定できる形で) /
カラーパレット4色(色コード) /
画風(線の太さ・塗り・影・輪郭) /
表情バリエーション10種 /
話し方(一人称・語尾・テンション・口ぐせ・使わない言葉) /
世界観 / 禁止事項7つ / 固定する要素と変えてよい要素
【出力形式】
そのままコピーして画像生成AIに貼れる、プレーンテキストの設定シート。
▲ ここまで
プロンプト2 設定を画像生成用に圧縮する
設定シートは長いので、画像生成AI用に整えます。
以下のキャラクター設定を、画像生成AI用のプロンプトに変換してください。
【条件】
- 見た目に関係ない情報(性格・話し方・世界観)は省く
- 色は色コードと言葉の両方で書く
- 「毎回固定する要素」を先に、「今回変える要素」を後ろに置く
- 最後に禁止事項を箇条書きで入れる
- 日本語で出力する
- 200〜300文字程度にまとめる
【キャラクター設定】
(設定シートを貼る)
プロンプト3 設定の穴を探す
以下のキャラクター設定を読み、
「画像生成のたびに絵が変わってしまう原因になりそうな箇所」を指摘してください。
【観点】
- 曖昧な表現(「かわいい」「おしゃれ」など主観的な語)
- 指定が抜けている部位(耳、手、足、眉、口の形など)
- 色の指定が言葉だけで色コードがない箇所
- 服装の指定が不十分な箇所
- 小さいサイズで見えなくなりそうな要素
【出力】
指摘 → 修正案 の形で、優先度の高い順に10個。
【キャラクター設定】
(設定シートを貼る)
よくある失敗
失敗1 設定を「かわいい女の子」だけで済ませる
毎回、別人が出てきます。
対策:14項目を全部埋める。
失敗2 色を言葉だけで指定する
「明るい茶色」の解釈が毎回変わります。
対策:色コードを決める。
失敗3 5頭身以上のリアル寄りにする
小さい画面で顔が潰れて、表情が読めません。
対策:2〜3頭身にする。
失敗4 線を細くする
上品に見えますが、縮小すると消えます。
対策:太い線にする。
失敗5 服を毎回変える
同じキャラクターに見えません。
対策:服は1パターンに固定する。
失敗6 小物にロゴや文字を入れる
商標の問題、そして文字の崩れが起きます。
対策:無地にする。「文字は描かない」と毎回書く。
失敗7 禁止事項を書かない
権利リスクのある絵が出てきます。
対策:禁止事項を設定シートに固定で持つ。
失敗8 基準画像を作らずに40枚作り始める
途中でブレに気づいて作り直しになります。
対策:まず基準画像1枚。次に4枚。
この章のチェックリスト
- □ キャラクターに名前をつけた
- □ 性格を3語で書いた
- □ 年齢感を幅で書いた
- □ 頭身を2〜3頭身に決めた
- □ 髪型を長さ・色・前髪まで書いた
- □ 色コードを4色決めた
- □ 服装を「毎回固定」で決めた
- □ 小物を無地にした
- □ 表情バリエーションを10種リスト化した
- □ 話し方(一人称・語尾・口ぐせ)を決めた
- □ 禁止事項を最低6つ書いた
- □ 「固定する要素」と「変えてよい要素」を分けた
- □ 設定シートをファイルに保存した
- □ 基準画像を1枚作った
章のまとめ
- 設定は文章で持つ。毎回まるごと貼る
- 決めるのは14項目。曖昧な語を残さない
- 色は色コード。頭身は2〜3。線は太く
- 固定する要素と変える要素を分けて書く
- 禁止事項を最初から設定に含める
- 基準画像を1枚作ってから量産に入る
次の章では、セリフを40個作ります。
キャラクターの話し方が決まっているので、ここは一気に進みます。

基準画像(正面・上半身・にっこり)。以降の生成で参照用に使う

並べて統一感を確認する(髪型・服装・線の太さがそろっているか)