第6章 画像の加工(後編)
前編の続きです。
前編では「切り抜き・余白・リサイズ」を扱いました。
この後編では「文字入れ・白フチ・メイン画像とタブ画像」を扱います。
⑤ 文字入れ
セリフを画像に載せます。
文字入れの手順
- 加工済みの透過PNGを開く
- テキストツールを選ぶ
- セリフを入力する
- フォントを選ぶ
- サイズを調整する
- 位置を決める
- フチを付ける(次のセクション)
- PNGで保存する
フォントの選び方
太いフォントを選んでください。
細いフォントは、縮小すると消えます。
- 太いゴシック体:◎ 最適
- 丸ゴシック体:◎ かわいい系に合う
- 明朝体:△ 細い部分が消える
- 筆記体・手書き風:△ 読みにくいことがある
フォントの商用利用条件も必ず確認してください。
無料フォントでも、商用利用が禁止されているものがあります。
「商用利用可」「再配布不可でも使用は可」などの条件を、配布元で確認します。
文字サイズの目安
画像の中で、セリフが占める高さは全体の20〜30%を目安にします。
小さすぎると読めません。
大きすぎるとキャラクターが隠れます。
文字の位置
3パターンあります。
- 上(頭の上):キャラクターの全身を見せたいとき
- 下(足元):顔を大きく見せたいとき
- 横(左右):横向きのポーズのとき
40枚で位置を統一する必要はありません。
キャラクターが隠れない位置に置くのが優先です。
ただし、フォント・文字サイズ・フチの色は統一します。
文字を統一するコツ
1枚目で完成した文字設定を、テンプレートとして保存します。
Canvaなら、複製して文字だけ差し替えられます。
これで40枚が一気に進みます。
⑥ 白フチと黒フチ
これは知らない人が多い、効果の大きいテクニックです。
なぜフチが必要なのか
LINEのトーク背景は、人によって違います。
- 白っぽい背景
- 黒っぽい背景(ダークモード)
- 写真の背景
- 濃い色のテーマ
黒い文字を白背景で見ると読めます。
でも、黒い背景では消えます。
解決策:文字に2重のフチを付ける
これが定番の作りです。
文字の中身:白
1本目のフチ:黒(細め)
2本目のフチ:白(太め)
または、逆でも構いません。
文字の中身:黒
1本目のフチ:白(太め)
こうすると、どんな背景でも読めます。
キャラクター本体にも白フチを付ける
これは効果が大きいです。
キャラクターの輪郭の外側に、白い縁を2〜4pxほど付けます。
すると、暗い背景でもキャラクターがはっきり浮きます。
手順(Photopeaの場合)
- キャラクターのレイヤーを選ぶ
- レイヤースタイルを開く
- 「境界線」または「ストローク」を選ぶ
- 色を白にする
- 太さを2〜4pxにする
- 位置を「外側」にする
- 適用する
手順(ibisPaintの場合)
レイヤーメニューの「フチ」または「縁取り」機能を使います。
実例:ビジネス敬語スタンプで学んだこと
ビジネス敬語スタンプを作ったとき、最初は文字にフチを付けていませんでした。
黒い文字だけです。
自分のスマートフォンで確認したときは読めました。
でも、ダークモードで使っている人には見えづらい状態でした。
対策として、全枚数に白フチを追加しました。
敬語系は文字が主役なので、フチは必須です。

白フチのあり・なし(暗い背景で比較)
⑦ 可読性の確認
パソコンの画面では、必ず「読める」と感じます。
でも、実際に使われるのはスマートフォンです。
確認方法1 縮小して見る
パソコン上で、画像を実際の表示サイズくらいまで縮小します。
目安として、画面上で1.5〜2cm四方くらいの大きさです。
その状態で読めるかを見ます。
確認方法2 スマートフォンに送る
これが本番の確認です。
手順
- 完成した画像を、自分だけのLINEグループに送る - LINEで自分1人のグループを作れます(「自分専用メモ」として使えます)
- スマートフォンでそのトークを開く
- 画像をタップせず、トーク上のサイズで見る
- 読めるか確認する
- トーク背景を暗い色に変えて、もう一度見る
トーク背景の変更手順
LINEの設定から「トーク」→「背景デザイン」で変更できます。
黒っぽい背景に変えて確認してください。
確認方法3 少し離れて見る
スマートフォンを腕の長さくらい離して見ます。
読めなければ、文字が小さすぎます。
確認するポイント
- □ セリフが読める
- □ 表情がわかる
- □ キャラクターが誰かわかる
- □ 明るい背景で見える
- □ 暗い背景で見える
- □ 文字が画像の端で切れていない
- □ 色が薄すぎない

トーク表示サイズでの見え方(明るい背景・暗い背景/再現図)

トーク表示サイズでの見え方(明るい背景・暗い背景/再現図)
⑧ ファイル名の統一
これを軽く見ると、あとで必ず混乱します。
統一ルール
stamp_001.png
stamp_002.png
stamp_003.png
...
stamp_040.png
main.png (メイン画像)
tab.png (タブ画像)
なぜ3桁の連番にするのか
理由は2つです。
理由1 並び順が崩れない
stamp_1.png と stamp_10.png があると、パソコンは次の順に並べます。
stamp_1.png
stamp_10.png
stamp_2.png
3桁にすると、正しく並びます。
stamp_001.png
stamp_002.png
stamp_010.png
理由2 CSVと対応が取れる
第4章のCSVの number 列と filename 列が一致します。
これで「何番のセリフがどのファイルか」が迷わなくなります。
日本語のファイル名を避ける理由
ありがとう.png のような名前は避けます。
- 環境によって文字化けする
- スクリプトで処理しにくい
- アップロード時に順番が崩れる
リネームの自動化
40枚を手で名前変更するのは大変です。
第11章の scripts/rename_images.py を使うと、一括で stamp_001.png 形式に変換できます。
元ファイルは上書きせず、output フォルダにコピーする方式にしています。
⑨ メイン画像の作り方
ストアの表紙になる画像です。
参考サイズ:240 × 240 px(要確認)
作り方の手順
- スタンプの中から、いちばん表情が良い1枚を選ぶ
- その画像を複製する(元の40枚は触らない)
- 240×240の正方形キャンバスを新規作成する
- キャラクターを配置する(顔が大きく見えるように)
- スタンプのテーマがわかる文字を入れる(任意)
- 背景を透過にする
- PNGで保存する(ファイル名:
main.png)
メイン画像で意識すること
3つだけです。
1. 顔が大きい
一覧で小さく表示されます。
全身よりも、顔が大きいほうが目に入ります。
2. 何のスタンプかわかる
キャラクターだけだと、テーマが伝わりません。
短い文字を入れると、伝わりやすくなります。
例:「AIコンサル アイナ」
ただし、文字を詰め込みすぎないでください。
3. 他の作品に埋もれない
一覧に並んだとき、色が薄いと消えます。
アクセントカラーを使って、目に留まるようにします。
「アイナ」ならネオンピンク(#FF4FA3)です。
注意
メイン画像は、スタンプ画像とサイズが違います。
40枚のうちの1枚を、そのまま流用できません。
必ず作り直してください。

メイン画像(240×240)の作例。顔が大きく見えるようにする
⑩ タブ画像の作り方
トーク画面下部のタブに出る、小さなアイコンです。
参考サイズ:96 × 74 px(要確認)
作り方の手順
- キャラクターの顔がよく見える1枚を選ぶ
- 顔だけを切り出す
- 96×74のキャンバスを新規作成する
- 顔を中央に配置する(横長なので、顔を少し小さめに)
- 背景を透過にする
- PNGで保存する(ファイル名:
tab.png)
タブ画像のコツ
とにかく小さいです。
だから、こうします。
- 文字は入れない(読めません)
- 顔だけにする(全身は潰れます)
- 線を太くする
- 色をはっきりさせる
よくある間違い
メイン画像をそのまま縮小して使うと、細部が潰れます。
そして、96×74は横長です。
正方形の画像を入れると、余白が大きくなります。
顔を少し横に広めに切り出すと、収まりが良くなります。

タブ画像(96×74)の作例。横長なので顔だけを切り出す

スタンプ画像・メイン画像・タブ画像を実寸で並べた比較
そのまま使えるプロンプト
画像加工そのものはAIにできませんが、判断の整理には使えます。
プロンプト1 可読性の問題を整理する
私はLINEスタンプの画像を加工しています。
以下の状況について、可読性を上げる具体策を優先度順に5つ出してください。
【状況】
- セリフの文字数:
- 文字色:
- 文字にフチ:あり/なし
- キャラクターの色の濃さ:
- スマートフォンで確認した結果:
【出力の条件】
- 画像編集ソフトでの具体的な操作として書く
- 「〜を〜pxにする」のように数値で書く
- 効果が大きい順に並べる
- 作業時間の目安も1行で書く
プロンプト2 加工手順のチェックリストを作る
私が使う画像編集ツールは「(ツール名)」です。
このツールで、以下の作業を行う手順を、
初心者向けに1ステップずつ書いてください。
【作業内容】
1. 背景を透明にする
2. キャラクターの外側に白い縁を3px付ける
3. 文字を入れて、白フチと黒フチを2重に付ける
4. 370×320px以内にリサイズする
5. 透過を保持したままPNGで書き出す
【出力の条件】
- メニュー名やボタン名を具体的に書く
- 各ステップに「確認すること」を1行添える
- ツールのバージョンによって名称が違う可能性があることを明記する
- 数値は私が公式ガイドラインで確認する前提で書く
よくある失敗
失敗1 透過したつもりで、白く塗りつぶしていた
見た目では気づけません。
対策:黒いレイヤーを下に置いて確認する。
失敗2 白フチが残っている
暗い背景で輪郭が光ります。
対策:選択範囲を1px内側に縮めてから削除する。
失敗3 JPEGをリネームしてPNGにした
中身は変わりません。
対策:編集ソフトの「PNG書き出し」を使う。検証スクリプトで確認する。
失敗4 キャラクターを端まで大きくした
余白がなく、審査で指摘されることがあります。
対策:全体を90〜95%に縮小して中央配置する。
失敗5 縦横比を無視してリサイズした
キャラクターが伸びます。
対策:「縦横比を固定」にチェックを入れる。
失敗6 細いフォントを使った
縮小すると消えます。
対策:太いゴシック体か丸ゴシック体を使う。
失敗7 フォントの商用利用条件を確認しなかった
あとで使えないことがわかります。
対策:配布元で条件を確認する。
失敗8 文字にフチを付けなかった
暗い背景で読めません。
対策:白フチ+黒フチの2重にする。
失敗9 パソコンだけで確認を終えた
スマートフォンで見たら小さすぎた、が起きます。
対策:自分専用のLINEグループに送って実機確認する。
失敗10 メイン画像とタブ画像を作り忘れた
申請直前に気づきます。
対策:作業リストに最初から入れる。42枚として数える。
失敗11 ファイル名がバラバラ
アップロード順が崩れます。
対策:stamp_001.png 形式に統一する。スクリプトで一括リネームする。
失敗12 元画像を上書きした
やり直しができません。
対策:加工は必ず複製に対して行う。元画像は別フォルダに保管する。
この章のチェックリスト
全枚数の共通確認
- □ 背景が透明になっている(黒背景で確認した)
- □ 白いフチが残っていない
- □ キャラクターが画像の端に接触していない
- □ サイズが規定内(公式ガイドラインで確認した数値)
- □ 縦横のピクセル数が偶数
- □ PNGで保存されている(検証スクリプトで確認した)
- □ ファイル名が
stamp_001.png形式で連番になっている - □ 元画像を別フォルダに保管している
文字の確認
- □ フォントが太い
- □ フォントの商用利用条件を確認した
- □ 40枚でフォントが統一されている
- □ 文字にフチが付いている
- □ 文字が画像の端で切れていない
- □ 文字がキャラクターの顔を隠していない
メイン画像・タブ画像
- □
main.pngを作った(規定サイズ) - □
tab.pngを作った(規定サイズ) - □ タブ画像は顔だけにした
- □ タブ画像に文字を入れていない
- □ どちらも透過されている
実機確認
- □ スマートフォンの明るい背景で確認した
- □ スマートフォンの暗い背景で確認した
- □ 腕の長さ離して読めた
章のまとめ
- 加工の流れは、切り抜き→余白→リサイズ→文字→フチ→PNG→リネーム→実機確認
- 透過の確認は、黒いレイヤーを下に置いて行う
- 白い服のキャラは、薄いグレー背景で生成すると切り抜きやすい
- 文字は太いフォント。白フチ+黒フチで、どの背景でも読める形にする
- ファイル名は
stamp_001.png形式の3桁連番 - メイン画像とタブ画像は別サイズ。流用できない
- 最終確認はスマートフォン実機。明るい背景と暗い背景の両方
次の章では、LINE Creators Marketへの登録と申請に進みます。
画像がそろっていれば、作業自体は1時間かかりません。

加工前(背景あり)と加工後(透過・文字入り)

並べて確認する(サンプルは5枚)